ジェノグラム作成ツールの選び方|業務で使うなら確認したい7つの点
ジェノグラムを作れるツールはいくつもあります。ただ「描ければどれでも同じ」ではありません。月に何枚も作り、何年も使い続ける前提で見たときに差が出る点を整理します。
最終更新:2026-08-03
「一度描ければいい」書類ではない
ジェノグラムは、作って終わりの書類ではありません。同居の開始・解消、死別、キーパーソンの交代。家族の形は動きます。そのたびに図を更新することになります。
さらに、担当する利用者が30人いれば30枚あります。年に1度の更新でも年30回の作図です。1枚あたり10分の差が、年間5時間の差になります。ツール選びは、この前提で見る必要があります。
1. 後から開いて直せるか
もっとも重要な点です。画像としてしか出力できないツールだと、1か所直したいだけでも一から描き直しになります。
確認するのは「作った図をファイルとして保存し、そのファイルを読み込んで続きから編集できるか」です。ブラウザに一時保存されるだけのものは、端末を変えたりキャッシュを消したりすると消えます。
2. 記号がそろっているか
汎用の作図ツール(PowerPoint、各種ダイアグラムツール)でも描けますが、図形を一つずつ組み立てることになります。ジェノグラム専用なら一覧から選ぶだけです。
確認したいのは、次の記号が最初から用意されているかです。
- 男性・女性・不明
- 本人(二重枠)
- 死亡(男女それぞれ)
- 妊娠
- 婚姻・離婚・別居・同居/内縁
- 親子(きょうだい線が自動でまとまるか)
「死亡」と「本人」が用意されていないツールは実務では厳しいと思ってよいです。ほぼ毎回使います。
3. エコマップも同じ画面で作れるか
エコマップを別のツールで作ることになると、二度手間です。同じ画面で、家族と社会資源を並べて描けるかを確認します。
エコマップでは関係の質を線種で描き分けることが要になります。強い関係・普通・希薄・葛藤/ストレス・一方向/双方向の関わり。これらが選べるかどうかで、図から読み取れる情報量が変わります。
4. 印刷して崩れないか
ケアマネジャーの実務では、紙に出して記録に綴じる場面が残ります。サービス担当者会議の資料、医療機関へ渡す情報提供書への添付。
画面ではきれいでも、印刷すると文字が切れる、はみ出す、余白がおかしい、というツールは少なくありません。導入前に1枚印刷してみるのが確実です。詳しくはジェノグラムの印刷で解説しています。
5. 画像として書き出せるか
他の書類に貼り付けるには、PNG などの画像ファイルとして書き出せる必要があります。印刷しかできないツールは、Word や Excel の様式に貼れません。
印刷と画像保存は別の機能です。両方あるかを確認します。
6. 個人情報がどこに保存されるか
ここは見落とされがちですが、ジェノグラムは要配慮個人情報のかたまりです。本人だけでなく家族の病歴、障害、死因、家族間の対立まで含みます。しかも、その家族自身はツールの利用者ではありません。
確認したいのは次の点です。
- 入力した内容がどこに保存されるのか(端末内か、事業者のサーバーか)
- プライバシーポリシーが公開されているか
- 事業者が内容を見られる仕組みになっていないか
- 退会・解約したときにデータがどうなるか
事業所として導入するなら、この点を説明できないツールは避けるのが無難です。運営指導や、万一の情報漏えい時に説明責任を負うのは事業所側です。
7. 費用と、続けられるか
無料のツールもあります。ただし業務で使う場合、次の点を見ておく必要があります。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 回数制限 | 保存・印刷に回数制限がないか。無料枠を使い切ると業務が止まる |
| 継続性 | 個人が趣味で運営しているものだと、ある日止まる可能性がある |
| データの持ち出し | サービスが終了したとき、作った図を手元に残せるか |
| 経費計上 | 領収書や請求書が出るか。事業所として払うなら必要 |
月額数百円の差より、「担当を引き継ぐときにデータを渡せるか」のほうが、後になって効いてきます。
手書き・Excel・専用ツールの整理
| 方法 | 向いている場面 | つらくなる場面 |
|---|---|---|
| 手書き | 訪問先で本人と一緒に確認しながら描く | 家族が多い。修正が入る。清書が必要 |
| Excel・PowerPoint | 既にある様式に合わせたい。追加費用をかけたくない | 図形を1つずつ引く。人を足すと配置が総崩れ |
| 専用ツール | 毎月継続して作る。記号を正確に使いたい | ツールを選ぶ手間。多くは有料 |
訪問先では手書き、事業所で清書は専用ツール、という組み合わせが現実的です。Excel での作り方はジェノグラムをExcelで作るで具体的に解説しています。
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- ジェノグラムの保存・再編集・共有と個人情報保存形式の使い分け、更新の運用、事業所での共有ルール。
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